glimpse

住みよい街

Story of Favorite 61.~86.和訳

61.
だけど、なぜ僕はしょっちゅう不安な気持ちになるんだろうか。
僕の夢に君がもう出てこない。

62.
しかし君が僕を訪ねてきた。
夢ではみられなかった場面だった。

63.
君は青い薔薇を渡してきた。
“ゲームしようか?歌を聴こうか?”
君は何事も無かったように笑った。

64.
“私たち 明日は何をしようか?”
そして君が尋ねた。

その言葉に 僕はたじろいだ。

65.
“あのさ。君は夢をみる?”
僕が尋ねた。

“いいえ。”
君は大したことでは無さそうに答えた。

66.
“おかしいな”
“何が?”
“君がすぐにでも消えてしまいそうな気がする”
“私たちはもうずっと一緒だよ。私が君を置いて居なくなるわけがないでしょ”

君が笑いながら言った。

67.
“そうだね。”
こうして僕の目の前に君が居る。

僕は青い薔薇を よく見えるところへ飾った。

68.
それでも悪夢は続いて現れた。
夢の中で 君は結局僕のもとを去り

僕は夢だってことを知りながらも
苦しみに涙を流した。

69.
目を開けた時
君が贈ってくれた薔薇が見当たらなかった。

不安な気持ちで 僕は君のもとへ走った。

70.
“どうしたの”
君が僕を見て驚き 尋ねた。
君に会えて ほっとした。

71.
しかし、全部が変わっていた。

72.
君に贈った薔薇も、
一緒に観た映画も 全部。
変わっていた。

73.
黙って君のペンダントを見つめた。
“確かに変えたのに…”
僕は変化したペンダントを撫でた。
そして君を見た。

74.
“あ…”
僕はやっと気がついた。

君は 信じたくないくらい
あまりに鮮明だった。

75.
“だいじょうぶ。”
君が微笑んだ。

“君に残された時間が こんなに少ないと分かっていたら 絶対に離れなかった”
“分かってる。”

76.
“不幸の中でも僕の傍へ 永遠におこうとした”
“あの時も 今も 幸せだったよ”

77.
涙をこらえて僕は目をぎゅっと閉じた。

この全てが夢だということを、
取り戻すことができないということを知った。

78.
“お願い 行かないで。”

79.
目を開けた。
傍に君はいなかった。

80.
君が居なくなって 僕はずっと夢をみている。

夢の中では
僕らの幸せだった時間へ戻る。
そこで 僕は 僕の姿を変えてみたり
時には違う選択をしてみたりもする。

81.
もしかしたら 君をもっと笑顔にできたんじゃなかっただろうか。
もう少しでも 泣かせずに済んだだろうか、
永遠に 君を僕の傍におくことはできなかっただろうか。

努力をしても結局
変わることはなかった。

82.
君が居なくなって 僕らは止まった。
だけど僕はずっと流れてゆく。

それが僕を狂わせる。

83.
僕は 破片になってしまった僕らの悲しい運命の中で
果てしなく繰り返し また繰り返す。

84.
それが何回目でも 変わらないことだ。
全てを好きになってしまった君を。
僕は愛して また愛するほかない。

85.
“愛してる”

また 目を閉じた。

86.
もはや見ることのできない 君の海、
届かない僕の君に 会いに行くため。